「二十日正月(はつかしょうがつ)」とは何か、その由来と地域ごとの習慣について解説します。
この言葉は現代ではあまり耳にしないかもしれませんが、はつか正月は各地で異なる特別な食事を楽しむなど、重要な祭日の一つとされています。
この祭日の魅力と詳細を、地域の特色を交えてご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
二十日正月とは?
二十日正月(または1月20日の新年)は、1月20日に行われ、新年の祝い事が締めくくられる日です。この日は、新年の行事が終了すると同時に、各地で様々な呼び名があります。
西日本では「正月納め」、東日本では新しい仕事年の始まりとして認識されることもあります。
この日が重要視される理由は、新年の神々が天に戻るとされるためです。
さらに、この日には収穫への感謝と次の豊作を祈る意味合いも含まれています。
家庭では、正月飾りを片付け、残ったお正月料理を食べ尽くすことで食べ物を大切にする習慣があります。
関連して、近畿地方では「骨正月」や「かしら正月」と呼ばれることがあり、石川県では「乞食正月」、群馬県では「棚正月」とも称されます。
また、1月19日の夜には、翌日に帰る年神様に向けてお供えをする地域も存在します。
このように、はつか正月は新年の終わりを告げ、日本の伝統的な暦の中で特別な位置を占める重要な日です。
「二十日正月」の地域ごとの伝統料理
二十日正月では、地域ごとに伝統料理を食べられます。代表的なものをいくつか紹介します。
小豆粥
小豆粥は、邪気を払い健康を願う効能があるとされ、日本全国で親しまれています。この粥を食べることで、一年間の健康を祈る習慣が古くからあります。
各地域にはそれぞれの行事食があり、その中から特徴的なものを紹介します。
麦飯ととろろ(西日本〜中国地方)
この地域では、麦を主食とし、自然薯のとろろを加えることで滋養強壮と消化促進を目指しています。正月の疲れを癒やし、新しい年の活動に備えるために食べられており、「麦正月」「とろろ正月」とも呼ばれています。
鮭と鰤(京阪神地方)
京阪神地方では、保存のために塩漬けにされた鮭や鰤が正月の重要なご馳走とされています。はつか正月には、これらの魚の端材を利用して、煮物や大根と一緒に料理されることが多く、「骨正月」「かしら正月」と呼ばれる由来となっています。
鮒(佐賀県)
佐賀県では、鮒の煮込み料理「ふなこんぐい」が伝統的な郷土料理として親しまれています。鹿島市ではこの料理を恵比寿様に供え、豊漁と商売繁盛を祈る風習があり、ふな市も開催され、地域が賑わいます。
豚肉(沖縄)
沖縄では、旧暦の1月20日を「はつか正月」として、豚肉の塩漬け「スーチカー」を食べるのが伝統です。この日は「カミアレーショーグヮチ」と呼ばれ、瓶洗いの正月という意味があります。沖縄独自の文化に根ざしたこの風習は、新暦とは異なり約1ヶ月遅れて行われます。
現代における「二十日正月」の過ごし方
二十日正月は、今でも地域によって受け継がれている風習がある一方で、多くの地域では馴染み薄い祭日となっています。すでに多くの場所で仕事や学業が始まっているため、特別な行事を実施する機会は少ないかもしれません。
しかし、現代でも二十日正月を意味深く祝いたいと思うなら、以下のような活動を取り入れると良いでしょう。
- 年神様に感謝を捧げ、一年の幸福を祈る。
- 冷蔵庫や食品庫をチェックし、お正月に使用した食材が残っていないか確認する。同時に、賞味期限も再確認する。
- 正月飾りを片付けて部屋を整える。
- 食べ物への感謝と新しい年への希望を心に留め、穏やかにこの日を祝う。
まとめ
二十日正月は、お正月の締めくくりを象徴する特別な日です。この日は新年を迎えた年神様が元の場所に戻り、正月の食べ物を全て食べ尽くし、食べ物への感謝と新年の幸福を祈る日となっています。
昔の人々は、一年を通じての生活に感謝を込めて各節目を大切にしていました。現代の私たちも、この伝統を現代風にアレンジして取り入れることで、日々の感謝の重要性を再確認するきっかけになります。