「ガラスの天井」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょうが、その具体的な意味や背景を説明するのはなかなか難しいものです。
女性の社会進出が進む現代でも、「ガラスの天井」の存在が指摘され続けています。例えば、ヒラリー・クリントンや2024年のカマラ・ハリス氏も「ガラスの天井はまだ破られていない」と述べています。
この記事では、「ガラスの天井」の意味、その起源、日本における具体的な事例やガラスの天井指数について詳しく解説します。
ガラスの天井とは？
「ガラスの天井」とは、女性や少数派が実力や成果を上げていても、それが認められず昇進などが制限される社会現象を指します。この表現は、目に見えない障害物が道を阻んでいるかのような状況を表すために使われています。
ガラスの天井の起源
この概念は1978年にアメリカの企業コンサルタント、マリリン・ローデンによって初めて提唱されました。その後、ウォールストリート・ジャーナルが特集を組むことで広く知られるようになり、女性のキャリアにおける障壁として注目されるようになりました。
ヒラリー・クリントンの演説
2016年のアメリカ大統領選挙でヒラリー・クリントンは「まだ最も高く、最も固いガラスの天井を破っていませんが、それを破る日は近いと期待しています」と述べました。これは多くの人々にガラスの天井について改めて考える契機を提供しました。
また、2024年にカマラ・ハリスが大統領選に挑む際、クリントンは「私たちはガラスの天井に多くのひびを入れ、それを破る一歩手前まで来ています」と期待を示しました。
ドナルド・トランプの勝利により実現しなかったものの、女性が大統領選に挑むこと自体が、大きな前進と言えます。
日本の「ガラスの天井」現状と指数の概要
日本でも女性の管理職昇進やキャリア形成が進んでいますが、男性に比べると多くの課題が残っています。特に、妊娠、出産、育児といったライフイベントが女性のキャリア継続に大きく影響しています。
また、女性だけを理由に重要な役職に任命することに対する差別的な見方も存在し、実力ある女性のキャリアアップを単に女性の管理職比率の増加で評価することへの疑問もあります。
2024年の総裁選で、高市早苗氏が日本初の女性首相になる可能性がありましたが、結果的には実現しませんでした。高市氏には性別よりもその政治的実績が評価されており、一部では「ガラスの天井は存在しなかった」とも言われていますが、X（旧ツイッター）ではガラスの天井が障害となったとの意見が多く見られました。
ガラスの天井指数とは？
ガラスの天井指数（GCI：Glass Ceiling Index）はOECD加盟29国において女性が男性とどれだけ平等に扱われているかを示す指標で、毎年3月に「エコノミスト」誌によって発表されます。この指数は経済、政治、教育、健康の4分野でスコア化され、0が完全な不平等、1が完全な平等を表します。2024年の日本のスコアは0.663で、146カ国中118位でした。
この指標は女性管理職の割合、男女間の賃金格差、育児休暇の取得率など、日本が直面している課題を明らかにしています。
まとめ
「ガラスの天井」は、性別などによる不当な障害が存在し、能力があるにも関わらず昇進が阻まれる状況を指します。
日本では、特に重要なポストにおいてこの問題が顕著で、女性が主に家庭や地域社会の責任を負う中、実力に基づく公平な評価でこの問題を克服することが求められています。