「新嘗祭（にいなめさい）」という言葉を聞いたことはありますか？
この祭りは、日本の伝統的な神事の一つです。今回はその内容や意義、2025年の開催日、そして似ている神嘗祭との違いについて詳しく説明します。
新嘗祭の基本情報
新嘗祭（にいなめさい、にいなめのまつり、しんじょうさい）は、毎年11月23日に宮中で執り行われる神事です。この日、天皇はその年の収穫に感謝を示し、天と地の神々に献上する儀式を行います。
天皇は国の安寧と繁栄を祈りながら、全国の神社でも同様の祭りが執り行われます。新天皇が即位した場合、この祭りは「大嘗祭」と呼ばれます。新嘗祭は宮中行事であるとともに、収穫感謝の祭りとしても位置づけられています。
新嘗祭の開催場所と流れ
宮中での新嘗祭は神嘉殿で行われ、天皇は神々への食事の供え物を神座や御座に設けられた場所で行います。
この儀式は日暮れと夜明けに実施され、天皇は新穀で作られた食事を摂り、翌朝に新しい衣服に着替えて再び供物を捧げます。
各地の神社では、地域ごとに様々な催しが行われることがありますが、共通して新穀の奉納が行われます。
新嘗祭の起源と歴史
新嘗祭の起源は「天照大神が豊穣を祈った」という古事記に記されています。
「新」は新穀を意味し、「嘗」は食べることを表しますが、この祭りには多くの異説が存在します。歴史的には飛鳥時代の皇極天皇が始めたとされ、東山天皇の時代には年間行事として定着しました。
明治時代以降、新嘗祭は重要な祭事と認識され、現在に至るまで続けられています。
新嘗祭の開催日と2025年の日程
新嘗祭は毎年11月23日に行われる宮中祭祀です。2025年も同様に、この日に予定されています。
歴史を遡ると、かつては旧暦11月の「中卯」と呼ばれる第二卯の日に行われていました。この「中卯」は、新暦ではおおよそ12月初旬から1月初旬にあたります。当時は日付を干支に基づいて選び、卯（うさぎ）は繁栄を象徴することから、新嘗祭の日として縁起が良いとされていたようです。
新嘗祭と勤労感謝の日のつながり
新嘗祭が行われる11月23日は、現在「勤労感謝の日」という祝日としても知られています。
この祝日は戦後に制定され、労働の尊重や生産の喜び、国民同士の感謝を目的としています。明治時代の国家神道の考え方を改め、収穫だけでなく、すべての労働に感謝する現代的な意義が加えられました。そのため、新嘗祭は「勤労感謝の日」という形で新たな意味を持つようになったのです。
新嘗祭と神嘗祭の違い
神嘗祭（かんなめさい）は、毎年10月15日から17日の期間に宮中および伊勢神宮で行われます。
この祭りでは、その年の新穀を天照大神に捧げ、感謝を表します。新嘗祭との違いとして、神嘗祭は天照大神に限定された祭祀であり、場所も伊勢神宮と宮中に限られます。
一方、新嘗祭は全ての神々を対象に行われ、全国の神社で同時に執り行われます。特に伊勢地方では、神嘗祭を「大祭」と呼び、その重要性が強調されています。
まとめ
新嘗祭は、毎年11月23日という勤労感謝の日に行われる、収穫への感謝を捧げる神事です。
皇居や全国の神社で執り行われ、古代から続く伝統的な儀式として現代にも息づいています。食べ物や収穫物に対する敬意を大切にしてきた日本人の心を、現代の私たちも忘れずに受け継いでいきたいものです。