「私が生まれたときのこと、覚えてる？」――そんな宿題が小学校で出されると、つい戸惑ってしまう親御さんも多いのではないでしょうか。とはいえ、子どもにとっては自分の“はじまり”を知る大切な機会。家族の中でどれだけ待ち望まれていた存在なのか、どんなエピソードがあったのかを知ることで、自己肯定感が育ち、親子の絆もより深まります。
本記事では、「生まれた時の様子」の書き方や構成のコツ、感動的に仕上げるためのヒント、そして実際の例文まで、すぐに使える情報をたっぷりご紹介します。書く前に準備しておくことや、注意したいポイントもあわせて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
なぜ「生まれた時の様子」を書くの？
小学校の宿題で「生まれた時の様子」を書く課題が出される理由は、単なる作文練習ではありません。この課題には、自分の誕生を振り返り、命の大切さや家族の愛情を知るという大切な意図があります。たとえば、「あなたが生まれたとき、家族はどんな気持ちだったのか」「どんな季節や天気の日だったのか」といった具体的な情報を通して、自己肯定感を育てる効果が期待されています。
さらに、親子で思い出を共有する機会にもなり、子どもにとっては「自分が大切にされてきた」と実感できる時間となるのです。宿題としては難しく感じるかもしれませんが、親子で話しながら書くことで、楽しい思い出づくりにもなります。こうした体験が、子どもの心に深く刻まれ、「自分には価値がある」という前向きな気持ちを育ててくれるのです。
書き始める前の準備｜親ができる5つのこと
「何を書けばいいかわからない…」というときは、まず情報の整理から始めましょう。準備の段階でできることを5つ紹介します。
1つ目は、母子手帳や育児日記を見返すこと。
出生時間や体重、病院名、当時のメモが思い出の手がかりになります。特に母子手帳には、陣痛の始まりや出産時の様子など、普段忘れがちな細かい情報が残されています。
2つ目は、写真やビデオを見返すこと。
赤ちゃんのときの様子を一緒に見ることで、自然とエピソードがよみがえります。「この時はこんなふうに泣いていたね」「この服、初めて着せたんだよ」など、写真が記憶を引き出す手助けになります。
3つ目は、家族や親せきにインタビューすること。
「あの時どう思った？」「何か覚えてることある？」と聞いてみると、新たな発見があるかもしれません。特におじいちゃんやおばあちゃんにとっては、孫の誕生は特別な瞬間。思いがけないエピソードが出てくることもあります。
4つ目は、季節や天気を調べてみること。
生まれた日の空模様や気温も、情景描写に役立ちます。「春のやわらかな日差し」「台風が近づいていた夜」など、季節感のある文章にすることで読み手の想像力も広がります。
最後に、子どもと一緒に書く気持ちを大切にすること。
宿題を通じて親子のコミュニケーションが深まります。「こんなふうに生まれてきたんだよ」と伝えることで、子どもは改めて家族の温かさを感じられます。
「生まれた時の様子」の基本構成と流れ
「どう書けばいいかわからない」と悩む方も多いですが、構成を覚えておくとスムーズに書けます。おすすめの流れは以下の通りです。
① 生まれる前の話（妊娠中・名前の由来）
例：「あなたが生まれる前、パパとママは毎日おなかをなでて、早く会いたいねって話していました。」
妊娠がわかったときの喜び、胎動を感じた瞬間、名前を考える過程なども書けると、より物語に深みが出ます。「どんな子に育ってほしいか」という願いが込められた名前の由来も、感動的な要素になります。
② 出生の瞬間（病院・時間・家族の様子）
例：「2020年5月の雨の日。午後2時すぎに元気な声を上げて生まれてきました。家族みんながホッとした瞬間でした。」
出産時の時間帯や、病院の雰囲気、どんな人が立ち会っていたかなどを書き添えると、読んだ人がその場面を思い描きやすくなります。生まれた瞬間にかかった音楽、外の天気、産声の大きさなども、印象的な描写になります。
③ 生まれた後の感動（初抱っこ・家族の言葉）
例：「初めて抱っこしたとき、小さくてあたたかくて、涙が止まりませんでした。」
生まれた直後の家族の反応や、親として初めて抱いた感情を素直に書くと、読み手にも感情が伝わります。「ありがとう」「がんばったね」「これからよろしくね」などの言葉も記憶に残ります。
④ まとめ・今の子どもへのメッセージ
例：「これからも元気に育ってね。あなたが生まれてきてくれて、本当に嬉しいよ。」
文章の最後には、今の子どもに向けたメッセージを添えましょう。「ここまで大きくなってくれてありがとう」「これからも見守っているよ」といった温かい言葉が、子どもの心に残ります。
感動を伝える書き方のコツとポイント
感動を伝えるには、ちょっとしたコツがあります。まずは五感を使った描写。「春のやさしい風」「病室に差し込む光」など、季節や空気感を入れるだけでグッと臨場感が増します。音（産声、拍手）、におい（病室の香り）、触感（赤ちゃんの肌）なども取り入れてみましょう。
次に、会話や気持ちをそのまま書くこと。「おぎゃーと泣いて安心したよ」「元気でよかった！」など、生の言葉が伝わると、文章にリアリティが生まれます。書き手の心の動きを率直に書くことで、共感を呼びます。
エピソードを1つ入れるだけでも効果的。「おじいちゃんが急いで病院に来た」「お姉ちゃんがぬいぐるみを持ってきた」など、家族とのやりとりは感情に深みを与えます。ひとつの行動に込められた思いを丁寧に描写すると、短い文章でも伝わる力が強くなります。
また、ポジティブな表現を意識するのも大切。ネガティブな話題は避け、安心感や喜びを中心に構成しましょう。子どもが読んで笑顔になれるような内容が理想です。
例文で学ぼう！「生まれた時の様子」作文サンプル
以下は、実際の作文をイメージした例文です。書き方や表現の参考にしてください。
例文①：春の日に生まれた女の子
「あなたが生まれたのは、桜が咲き始めた春の日でした。病院の窓から見える空が明るくて、まるであなたの誕生を祝っているようでした。生まれた瞬間、元気な声で泣いてくれて、ほっとしたのを覚えています。初めて抱っこしたとき、小さな手が私の指をぎゅっと握ってくれて、涙が出ました。あの手の温もりは今でも忘れられません。」
例文②：お兄ちゃんが喜んだ日
「生まれてきたあなたを、最初に抱っこしたのはお兄ちゃんでした。『かわいい！』と何度も言って、赤ちゃん用のおもちゃを一生懸命持ってきてくれたのを覚えています。家族みんなが笑顔で、幸せな時間でした。あなたが生まれたことで、家族の絆が一層深まりました。」
写真と一緒に思い出を伝える方法
言葉だけでなく、写真と一緒に書くことで、より具体的に思い出を伝えることができます。
まずは、赤ちゃんの頃の写真を3～5枚選ぶのが目安。生まれた日、病院での様子、家族と一緒の写真など、時系列にそって並べるとストーリー性が出ます。写真があると、読む子どもにも当時の様子がより伝わりやすくなります。
次に、写真にひとことコメントを添えると、より伝わりやすくなります。
例：「初めての抱っこ。小さくて壊れそうだった」
また、フォトブックやスクラップブックにまとめることで、形として残る思い出になります。学校の自由研究や発表資料としても活用でき、思い出の保存にも最適です。
書くときに注意したいポイント
生まれた時のエピソードを書くときは、次の点に注意しましょう。
- 個人情報やプライバシーに配慮しましょう。病院名やフルネームは避けるのが無難です。名前に意味がある場合は、「〇〇という漢字にはこういう思いが込められています」と書き方を工夫しましょう。
- 不安を与えるような表現（難産、病気など）は避け、安心できる内容にしましょう。どうしても触れたい内容がある場合は、前向きな言葉でフォローを添えると良いです。
- 長さよりも中身を重視。無理に長くせず、伝えたいことを中心に構成しましょう。読んだ子どもが「自分は大事にされている」と感じられるかが大切です。
最後に、書いたあとは子どもと一緒に読み返すのがおすすめです。お互いに気持ちを共有でき、心温まる時間になりますよ。読み返すことで、子ども自身が文章の意味を理解し、自信につながります。
まとめ｜「生まれた時の様子」は親子の宝物
「生まれた時の様子」を書くという宿題は、ただの作文課題ではありません。親が子を思う気持ち、家族の愛情、命の重みを再確認する大切な機会です。
何を書けばいいか迷ったら、今回ご紹介した流れや例文を参考に、思い出をひとつひとつ丁寧に言葉にしてみてください。
書き終わった頃には、子どもの笑顔と、親としての感謝の気持ちで心が満たされるはずです。そしてそれは、かけがえのない「親子の宝物」として、これから先もずっと心に残ることでしょう。